大規模集客施設の建設に伴う周辺交通への影響予測を目的とした事例。
対象施設では大規模な駐車場が併設されることから、これまで以上に交通需要の増加が見込まれ、開店後には周辺交通に大きな影響を与えることが懸念された。そのためUC-win/Roadで3D空間上に現状の道路ネットワークを再現し、将来交通量、現地調査から収集した信号現示データ、その他の現地条件を定義して、交通渋滞の発生状況について予測シミュレーションを行っている。
特に、既存道路の交通量と設置する出入りロの関係から、南側を東西に通る市道Aを走行してきた車両、もしくは市道Bを北上してきた車両の利用が多いと予想されたため、交差点Bを中心とした周辺道路に着目してシミュレーションを実行した。また、反対側、北東部よりの流れとして交差点Eの周辺道路にも着目した。
■検証条件
開業後、最も利用者が集中すると予想される「休日の16時〜17時」を想定時間帯とした。現地の全体平面図と諸条件は以下の図の通りである。
- 対称地域の店舗面積 (m2)
物販26,263m2、付属施設5,609m2
- 大規模集客施設の自動車収容台数、及び集客数 日当たり(人)
パチンコ2,880人、シネマ3,200人、ボーリング320人、カラオケ530人、温浴1,500人
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▲交差点Bとその周辺道路 |
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▲交差点Eとその周辺道路 |
1. 現況再現シミュレーション
休日の16時〜17時を想定し、道路ネットワークに現状交通量を定義した上で、シミュレーションを実行。
車両の走行速度は50km/hとした。
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交差点Bを南側から俯瞰(シミュレーション開始30分後) |
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シミュレーション開始30分後の時点で、いずれの交差点においても過飽和状態とみられるような渋滞は発生せず、ほぼ現況の交通状態に近い状態であることを確認した。
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交差点Eを東側から俯瞰(シミュレーション開始30分後) |
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信号機のない交差点であるが、交通量自体は少なく、渋滞は発生していない。 |
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2. 感度分析シミュレーション
休日の16時〜17時の時間帯を同一とし、同じ道路ネットワークに対し現状交通量に大型集客施設の利用車両台数を加えた全体交通量を定義した上で、シミュレーションを実行。
車両の走行速度は同一の50km/hとした。
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交差点Bを南側から俯瞰(シミュレーション開始30分後) |
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事前の予測とは異なり、市道を北上((3)→(1))する車両が、交差点Bを先頭に渋滞する状況を示した。
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交差点Eを東側から俯瞰(シミュレーション開始30分後) |
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北方向((1)方向)から右折して進入してくる交通量が増加しているが、特に渋滞と言えるほどの状態にはなっていない。一方、鉄道沿いの東方向((2)方向)からの車両で(1)方向へ右折車両の滞留による渋滞発生の傾向がみられた。 |
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■まとめ
このシミュレーション結果をもって営業開始後の現地に赴き、交通流、渋滞の状況を観察した。その結果、UC-win/Roadが示していた通り、B交差点においては市道を北上((3)→(1))して交差点を直進し大型商業施設へ入ろうとする車両で、慢性的な渋滞が発生していた。また、北東側の交差点Eにおいては、特に目立った渋滞は見られなかった。
このことから、今回UC-win/Roadで行なった渋滞状況の予測シミュレーションが妥当なものであったことを確認できた。
■類似の大型店舗駐車場の例
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▲俯瞰図(その1) |
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▲俯瞰図(その2) |
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