EVE2023.11.7TUE REPORT
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アートから防災まで進化するVR技術の活用、存在感増すAI
今回の前夜祭では、F8VPSによるメタバースショールームを公開。過去のデザインフェスティバル前夜祭のアーカイブ映像レビュー配信に加えて、3DVRシミュレーションコンテストをはじめとした各種コンテストの過去受賞作品動画や今回のノミネート作品の閲覧コーナーもメタバース空間内に設置、製品・システム体験のドライブシミュレータ展示では、360°動画による体験なども提供しました。メタバースの入り口からこれらのコーナーを順番に見ながら空間を進んでいくと、最後にオンラインギフト券が当選する抽選コーナーに挑戦できるようになっています。
メタバース内では自分の好きなアバターに姿を変更することができ、コンテストのコーナーにいるアバター「F8ラビット」に近づくと、デザインフェスティバルについてやこのメタバース空間についてなど、様々な質問にも答えてくれます。チャットによるスタッフとのコミュニケーションや商談などにも対応しており、アバターでスタッフと会話したお客様からは、メタバース体験の感想や、翌日からの講演についてご質問などもいただきました。
入口ではモニターで過去コンテストやDFのプログラムを紹介
コミュニケーションエリアで参加者と交流
各種プロダクトの展示
オンラインギフト抽選コーナー
DAY12023.11.8WED REPORT
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第8回 自動運転カンファランス
実証実験から社会実装へ、L4自動運転サービスの実現に向け進む環境整備
デザインフェスティバルのDay1(2023年11月8日)は、当社代表取締役社長の伊藤裕二が開会あいさつ。それを受けて「第8回 自動運転カンファランス」がスタートしました。
初めに、経済産業省製造産業局自動車課モビリティDX室長の伊藤建氏が「経済産業省における自動走行等の実現に向けた取組」と題し特別講演。自動車分野におけるデジタル化トレンドに触れた後、自動運転の意義や仕組み、レベル定義と現状、特定自動運行の許可制度、商用車・自家用車それぞれの社会実装に向けたアプローチ、米中を中心にL4無人自動運転タクシー/トラックの実証・実装の現状を概説。その上で、ダイナミックマップの基となる高精度3次元地図の提供、安全性評価手法(SAKURA Project)のISO化や国際協調、SAKURAのシナリオ分析DBとVR環境を結合した安全性評価プラットフォーム(DIVP)の実用化推進など、協調領域における同省の取り組みに言及。さらにそれら協調領域を活用した「自動運転レベル4等先進モビリティ研究開発・社会実装プロジェクト(LoAD to the L4)」(4プロジェクト)とその一つ福井県永平寺町における自動運転移動サービス、2025年度までの新たな自動運転移動サービス実現に向けた環境整備を目指す「レベル4モビリティ・アクセラレーション・コミッティ」立ち上げ(2023年10月)など、実証事業を推進する活動を解説。デジタルライフライン全国総合整備計画(10年間)の策定に向けた検討方針、2024年度からの実装支援策、ジャパンモビリティショーを通じた取り組みも紹介しました。
当社代表取締役社長の伊藤裕二による開会あいさつ
次いで、デジタル庁国民向けサービスグループ参事官の麻山健太郎氏が「デジタル庁におけるモビリティ分野の取組について~新たな『モビリティ・ロードマップ』の策定に向けて~」と題し特別講演。まず、自動運転をどう社会実装していくかという新たな「モビリティ・ロードマップ」の策定を同庁のモビリティ分野における主要な取り組みと位置付け。その際、様々な課題解決にあたりモビリティ分野のデータ連携や運行基盤(4次元空間ID等)の整備が必要と指摘。その上で、関係府省庁と同庁の役割、従来の当該分野における取り組みを整理。「デジタル交通社会のありかたに関する研究会」(2022年度)で挙げられた今後検討が必要な視点(供給側に加え需要サイドの課題の一体的な検討、および車両技術に加え社会システム全体の課題補足)、その具体化に向けたこれまでの社会実験・実装の自家用自動車・物流サービス・移動サービスごとの実現目標へと話を展開。今後は実証実験段階から社会実装段階へのシフトを視野に、移動手段を総合的に捉えた「モビリティ・ロードマップ」として2023年度末までに取りまとめていく考えを提示。そこでの課題を踏まえた全体最適化を目指すアプローチの必要性、デジタル社会推進会議(議長、内閣総理大臣)の下に新設されたモビリティWGにおける競争領域・協調領域・公的役割ごとの課題検討に言及します。
午前の部の最後は、「協調型自動運転の実現に向けた総務省の取組」と題して総務省総合通信基盤局電波部新世代移動通信システム推進室室長の増子喬紀氏が特別講演。初めに、協調型自動運転に関わるV2X通信(Vehicle-to-everything)・V2N通信(Vehicle-to-Network)の定義、V2N・V2V(Vehicle-to-Vehicle)・V2I(Vehicle-to-Infrastructure)・V2B(Vehicle-to-Bicycle)・V2P(Vehicle-to-Pedestrian)の活用イメージを整理。ITS・自動運転への関係6府省庁の役割と同省の位置付け、自動運転に関する政府目標と実用化の現状、同省が取り組んだデジタル田園都市国家インフラ整備計画(2023年4月再改定)の変更点などを解説。また、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)協調型自動運転通信方式検討TFの「協調型自動運転通信方式ロードマップ」(2022年3月策定)で新たな通信方式(5.9GHz帯)が必要とされたのを受け、5.9GHz帯をV2Xで使う検討に向けて同省が立ち上げた「自動運転時代の“次世代のITS通信”研究会」(2023年2月)にフォーカス。その論点として、1)次世代のITS通信の活用を想定されるユースケース、2)V2X通信・V2N通信の役割と連携イメージ、3)5.9GHz帯V2X通信の周波数割り当て方針や導入ロードマップの検討方向性、4)導入への課題やその他推進策について説明しました。
経済産業省 製造産業局 自動車課 モビリティDX室長 伊藤 建 氏
2005年入省。質の高いインフラ輸出戦略、WTOルール交渉、カーボンニュートラルに向けた環境エネルギー政策等を担当。2023年7月より現職。
午後の部は、古屋圭司衆議院議員(「自動車文化を考える議員連盟」会長ほか)およびWRC Promoter GmbH FIA世界ラリー選手権 ビジネス開発プロモーターのマーク・デュ・ジョン氏による来賓あいさつで同カンファランスが再開。古屋氏は、岸田文雄首相の言葉も引用し自動運転に対する政府内での機運の高まりを指摘。さらに、自身の地元岐阜県東農地域での自動運転推進エリア実現を目指す取り組みに言及。病院や学校の機能統合移転と併せたL4の自動運転サービスに加え、建設中のリニア中央新幹線駅、自動運転のためのデータセンター、さらに研究開発機能や技術系大学院の誘致を含む、最先端の科学技術と自然環境が融合する広域まちづくり構想を紹介。
またジョン氏は、WRCが2030年までにカーボンニュートラルの実現などを目指す構想「Beyond Rally」にフォーカス。120年以上前に遡る初期のHVから現代に至るラリーを通じたHVやサステナブル燃料導入の試み、FORUM8 Rally Japan 2023をはじめWRCとしてのサステナビリティ重視の様々な取り組み、FORUM8 Rally Japan 2023での世界初となるメタバース提供について説明。トークショーでは、古屋氏があらゆる技術を融合していくのが今後の自動車産業のあるべき姿と論じ、ジョン氏はWRCでも様々な技術をサポートし、モータースポーツを通じ立証していくと応じました。
「自動車文化を考える議員連盟」会長 衆議院議員 古屋 圭司 氏
衆議院議員、岐阜5区にて連続当選11回。初代国土強靭化、元防災担当・拉致問題担当大臣。国家公安委員会委員長、衆議院議員運営委員長など歴任。現在は、自由民主党憲法改正実現本部長を務め、「モータースポーツ振興議員連盟」会長、「自動車文化を考える議員連盟」会長をはじめ40を超える議員連盟会長を幅広い分野で活躍。8月に富士スピードウェイで開催される軽自動車の5時間耐久レースに毎年国会議員チームで出場し、今年は総合2位を獲得。地元岐阜県恵那市、中津川市は11月16日~19日に開催されるフォーラムエイトラリージャパンの開催地で、WRC世界ラリー選手権の日本誘致に尽力。
WRCPromoterGmbHFIA世界ラリー選手権 営業部部長 マーク デュ ジョン 氏
20シーズン以上にわたってFIA世界ラリー選手権(WRC)の営業部門の一員として、自動車部門(OEMや大手サプライヤーを含む)との商談やビジネス展開を担当。具体的なプロジェクトに、日本とアメリカで開催される新しいラリーイベントや、WRCのインタラクティブなTVゲームなど。
自動車産業、モータースポーツ、放送の分野でグローバルに経験を積み、WRCをはじめとするモータースポーツの最高峰で、大手ブランドや自動車部品メーカーとのプロジェクトに携わる。2004年から2010年にかけては、モータースポーツにおける持続可能な技術の利用を促進することを目的とした英国政府出資のシンクタンク「Energy Efficient Motorsport」に所属。英語、ドイツ語、フランス語、オランダ語に加え、スペイン語も堪能。また、国際ラリーのコ・ドライバーとしても活躍し、昨年にはアルプス地方を5日間かけて走る電気自動車ラリーに挑戦。
午後の部最初の特別講演は、国土交通省道路局道路交通管理課高度道路交通システム(ITS)推進室長の和賀正光氏による「自動運転に関する国土交通省道路局の取組について」。物流や地域公共交通における課題、それらを反映した自動運転に関する政府目標、自動運転技術の開発とその普及、自動運転車(自家用車)のL2・L3開発動向、自動運転の実現に向けた官民共同の取り組みについて概説。次いで、自動運転(物流サービス)に対する国内外の取り組み、自動運転トラックの課題を踏まえたその開発アプローチ(ODD(運行設計領域)設定)。デジタルライフライン全国総合整備計画、同計画のアーリーハーベストプロジェクトで進行中の取り組み、その一環として自動運転支援道の設定(新東名・東北道)、自動運転トラック実証実験の候補区間、そこでの自動運転レーン設定区間と想定される機能へと言及。併せて、自動運転(移動サービス)の国内外での取り組み、同サービスの普及・拡大に向けたアプローチ(車両側支援・道路側支援)、そこでの支援ステップ(案)とこれまでの取り組み(道路法を改正し自車位置特定のための電磁誘導線などを自動運行補助施設として道路附属物に位置づけ、実証実験)を紹介。今後の交差点センサによる情報収集、3次元地図データの更新・整備、道路整備によるリスク低減に向けた支援策にも触れました。
続いて、国土交通省物流・自動車局技術・環境政策課自動運転戦略室長の林健一氏が「自動運転の実現に向けた取組について」と題し特別講演。運転者がいない自動運転を可能にする特定自動運行の許可制度創設(2023年4月)に向けた同省による道路運送車両法改正と、L4自動運転の基準整備を述べた後、同制度を活用した無人自動運転移動サービス(福井県永平寺町、2023年5月開始)や自動運転による地域公共交通実証事業の今後の方向について解説。また、混在空間における自動運転の課題(信号認識や走行空間)、各地域の自動運転実現に向けた課題(安全性・地域の理解・事業性の確保)を挙げるとともに、自動運転実証調査事業で重要なポイントを整理。さらに、自動運転の実現に向けた政府の取り組み概要(自家用車・移動サービス・物流サービス)、自動運転に関する国際基準策定の取り組み、地域公共交通における自動運転実証調査事業(2023・2024年度を通じL4実現に向けた技術開発、地域の需要に応じた支援、採算性確保の検証)を紹介。自動運転に関する最近のトピックスとして、移動サービス面では自動運転タクシー、物流面ではトラックの自動運転に関する取り組み(従来の隊列走行ベースから個別にL4の自動運転トラック確立を目指す潮流)へと展開。そこでの車両とインフラを組み合わせたアプローチの重要性を説きました。
同カンファランス最後の特別講演は、警察庁交通局交通企画課自動運転企画室長の成富則宏氏による「自動運転の実現に向けた警察の取組について」。国内の交通事故発生状況や自動運転に期待される効果のポイントを示し、自動運転の実現に向けた政府目標について概説。その上で、警察の自動運転を支援する取り組みとしてまず、実験車両の運転者の有無、遠隔地からの監視・操作、特別装置の利用、無線装置による信号情報発信などに応じた公道実証実験環境の整備に向けたガイドラインや基準の策定について説明。次いで、道路運送車両法上の自動運行装置の定義、2019年の道路交通法改正(L3自動運行装置使用時の対応)、2022年の道路交通法改正(特定自動運行許可制度などL4自動運転に向けた制度整備)、特定自動運行許可制度の概要とそこでの特定自動運行実施者の義務および特定自動運行主任者の役割、同制度に基づく福井県永平寺町の自動運転の許可(2023年5月)へと言及。一方、最先端のICTを用い人・道路・車両を一体化して構築するITSに力を入れる一環としての同庁によるSIPの取り組み(主に2018年度からの第2期および2023年度からの第3期)を解説。加えて、運転支援技術の過信や誤用を防止し、それら機能の限界や注意点の正しい理解を促すべく取り組む同庁の広報・啓発活動を紹介しました。
最後に、「UC-win/RoadとF8VPS、フォーラムエイトの最新VR技術開発と今後の展望について」と題し、当社開発担当者が後編のプレゼンテーション。まず、UC-win/Roadの最新機能としてCityGML出力機能(建物・道路)、浸水ナビ(国交省提供の浸水シミュレーション)データ対応、Pythonスクリプトによるシミュレーション関与、コントローラー対応拡張、LKAシミュレーション機能、VISSIM連携機能、予定を含む編集機能の強化、非接触型インタフェース機能のリリース予定について紹介。
次いで、開発中のUC-win/Road Ver.18(2024年9月リリース予定)における点群を用いた道路と地形モデリング機能追加、描画性能の大幅改善と向上、VR/ARデバイス対応強化などを説明。併せて、F8VPSの新しい機能として点群表示の対応、点群上の空間計測機能、開発中のメタバース機能のリニューアル、3D空間編集機能、サンプルデータの拡充、更なるバージョンアップ予定について解説。今後、これらの技術を各種オープンデータや各組織が独自に保有するデータとリアルタイムで連携し円滑に使える基盤を提供するとともに、AIを活用しビッグデータの分析・検討・最適化に繋げ、社会を支えるシステム構築・ソリューション開発を目指す考えを述べました。
プレゼンテーション1「デジタルツイン、メタバースを実現する国産VRCGソフト~自動運転、モビリティ、スマートシティプロジェクトへの適用~」
フォーラムエイト執行役員 システム営業マネージャ
松田 克巳プレゼンテーション2「UC-win/RoadとF8VPS、フォーラムエイトの最新VR技術開発と今後の展望について」
フォーラムエイト 執行役員 開発シニアマネージャ
ペンクレアシュ・ヨアン -
第22回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド 表彰式
高まる作品のプロデュース力、UC-win/Road利用の新たな傾向に注目
Day1午後の部後半は、UC-win/RoadやF8VPSなどフォーラムエイトのVRソリューションを最大限活用し作成したVR作品を競う「第22回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド」の表彰式を実施しました。10月6日までに応募された多数の作品を基にノミネート予選選考会(10月13日)で14作品をノミネート。それらに対するクラウド一般投票(10月23~26日)のスコアも反映し、11月7日に審査委員長の関文夫・日本大学理工学部土木工学科教授、審査員の傘木宏夫・NPO地域づくり工房代表および原口哲之理・名古屋大学未来社会創造機構客員教授の3氏から成る本審査会(フォーラムエイト東京本社)において各賞を決定しました。
その結果、グランプリ(最優秀賞)を受賞したのはソウル市立大学校による「自動運転車両の車間距離受容における挙動による利用者満足度の評価」。UC-win/Roadでラウンドアバウトや高速道路合流部などでの自動運転車両の挙動を表現し、車間距離の受容性別にシナリオを作成。体験中に測定する被験者の生体情報と体験後のアンケート結果を解析し、被験者にとってどのような自動運転挙動が好ましいかを特定しようというもの。気象条件や日常起こり得る走行環境がリアルに再現され、これから始まる自動運転の世界のクルマが人にどういうストレスを与え得るか、学術的な数値を押さえながら検証している先進性が高い評価(関氏)に繋がりました。
準グランプリ(優秀賞)は、宇都宮市の「宇都宮デジタルシティ体験プロジェクト」。LRTを含む宇都宮駅周辺、消防署や浄水場、焼却場など市の主要な公共施設の3DモデルをWeb上に構築。通常は見られない視点からの探索や解説の視聴、設備の稼働アニメーションによる業務紹介を通じ、外出制限下でも効果的な社会科教育ツールとしての有効性を実証。「Digi田(デジでん)甲子園2023」(内閣官房)の宇都宮代表コンテンツにも選出されています。特にリアルな世界では体験できないところまで可視化し、そのメカニズムや必要性、モノの流れなどを理解できるよく出来たコンテンツ(原口氏)と評されました。
併せて、(一財)VR推進協議会により審査され、VRを最大限活用し、スマートシティの実現やDXの加速に繋がるような最先端のVRシステムにスポットを当てる「第2回VRシステムオブザイヤー」は、国土交通省東北技術事務所の「DX研修用デジタル教材・除雪シミュレータ」が受賞。インフラDX推進の一環として、若手技術者向けに研修用デジタル教材およびシミュレータを作成。そのコンテンツは、1)道路・橋梁の管理知識、測量や施工の管理等を学ぶVR教材、2)実物大の樋管や橋台を用いた解説を行うAR教材、3)安全指導や遠隔操縦を目的としたバックホウシミュレータ、4)安全・操作技術向上のための除雪シミュレータから構成。VRに加えARや地域特性を反映したシミュレータなど多様な要素をシステムとして捉え、DX推進や人材育成のために活用しようというアプローチが今後の展開を期待させる(同協議会の伊藤裕二理事長)と評価されています。
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出版書籍講演・ネットワークパーティー
分かりやすさ目指した表現技術検定の公式ガイドブック2編
Day1午後の部の最後は、フォーラムエイトパブリッシングによる新刊の執筆者が出版書籍披露講演を行いました。まず、『1日で学べる建設ICT』の著者である垣竜興氏(道路・舗装技術研究協会理事長)が講演し、建設ICTを対象とする表現技術検定公式ガイドブックとしての位置付けに触れた後、建設産業の課題、それを踏まえた表現技術検定(建設ICT)における4つの達成指標(1. 労働生産性向上策の提案・実現、2. 建設ICTの利活用の具体的なポイント会得、3.建設プロセスを網羅した建設ICTの知識習得、4. 発注者/受注者など立場の違いを越えたコミュニケーションの基礎習得)を整理。今後の建設DXの展開にも言及しました。
続いて、『1日で学べるクラウド・AI』の著者で表技協理事も務める小林佳弘氏(米国アリゾナ州立大学)の講演。自身の専門と表技協検定(クラウド・AI)の概要を紹介し、。併せて、各章に1ページの練習問題を設けたほか、分かりやすいイメージ図を多用し、用語説明や自己確認のための正誤問題なども配する同書の形式を解説。 さらに、受講者が自ら書き込む際のイメージ図の例、各章で述べられるコンセプトの理解を支援すべく挿入したインパクトのある図式を示しつつ、それぞれに込められた狙いにも触れました。
Day1ネットワークパーティでは、フォーラムエイトの開発責任者、サポート責任者も参加し、情報交換・懇親の場となった
インターシティホール ホワイエ併設展示
DAY22023.11.9THU REPORT
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第24回 UC-win/Road協議会
Shade3Dのメタバースに向けたさらなる追加、強化に注目
Day2(2023年11月9日)のUC-win/Road協議会の最初のセッションは、当社Shade3Dの最新機能に関するプレゼンテーションを行いました。Ver.24の新機能について、ヒューマノイドボーン機能での人体ボーン構造の一括生成及複数キャラクター間でのモーションの共有を紹介。glTFへの出力への対応、レンダリング速度の向上、点群の入出力、表示、編集への対応、スイープ曲線の情報制御の対応、道路線形 LandXMLの入出力への対応等について説明しました。
また、オプションのBIM/CIM設計照査ツール、ブロックUIプログラミングツール、Shade3D SDKについて紹介。今後の開発について、Ver.25は2024年7月にリリース予定でパラメトリックモデリングツール、メタバース向けの開発、オプション製品の更新を予定しています。最後にスイート千鳥エンジンについて、64bit化の実施、スイート千鳥エディターの追加、ゲーム製作がエディター上で可能な点を紹介し、その他ユーザ向けのゲームの提供の紹介、WebVR、メタバース(F8VPS)連携オンライン機能にてスイート千鳥エンジンでのオンライン通信ゲームの構築が可能な環境の提供予定についてご案内しました。
「Shade3D最新機能紹介~高品質なメタバース空間作成と今後の展望~、スイート千鳥エンジンの活用」
フォーラムエイトShade3D開発グループ
御厨 啓補ボックスモデル変換ツールでは、既存モデルから計量モデルの作成が可能
実際にShade3Dを操作しながら、新機能の説明を行った
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スペシャルセッション
進化するデジタルの自然と、それに基づく新しい芸術的・科学的表現の展開
Day2の午後の部前半は、MITメディアラボ副所長の石井裕氏とメディアアーティストの落合陽一氏による特別対談でスタート。最初に話題提供として落合陽一氏より「デジタルネイチャー」に関する講演が行われました。意匠やデザインや建築や考え方、自然、オブジェクトがあらゆる意味で自動微分、自動積分される時代が近づいてきており、すべての物が変換可能になったのが今の時代と述べました。
メディアアーティスト 落合 陽一 氏
東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。筑波大学デジタルネイチャー開発研究センターセンター長、准教授・JSTCRESTxDiversityプロジェクト研究代表。IPA認定スーパークリエータ/天才プログラマー。ピクシーダスト テクノロジーズ代表取締役。2019年SXSW Creative Experience ARROW Awards受賞、2021年MIT Technology Review Innovators Under 35 Japan ,2021 PMI Future 50、Apollo Magazine 40 UNDER 40 ART and TECHなどをはじめアート分野・テクノロジー分野で受賞多数。
MITメディアラボ副所長 石井 裕 氏
1980年北海道大学大学院修士課程修了。日本電信電話公 社(現NTT)入社。1988年~94年 NTTヒューマンインタフェース研究所において、リモートコラボレーション技術の研究に従事TeamWorkStationおよびClearBoardを発明。1992年北海道大学から博士号取得。1995年MITから准教授に招聘される。1995年10月MITメディアラボにおいてタンジブルメディアグループを創設、直接操作・感知可能なタンジブルユーザインタフェースTangible Bitsの研究を開始。2010年からは、デジタル情報により動的に変形する物理マテリアルRadical Atomsの研究を創始。現在MITメディアラボ副所長、タンジブルメディアグループ・ディレクター、工学博士。著書に『タンジブル・ビット/情報の感触 情報の気配』『CSCWとグループウェア』『グループウェアのデザイン』ほか多数。
続く石井裕氏も交えた対談では、デジタル技術と自然界の交差点において浮上する計算機自然に対する深層的探究について議論しました。ナチュラルコンピューテーションとコンピュータシミュレーションが融合し相転移した新しい自然が、芸術、科学、哲学の領域に与えるインパクトを学際的に分析。古代の思想と現代技術の交錯が生み出す新しい自然観の構築と、人間のオブジェクト指向での認識に対する追求を通じて、未来の可能性に対する洞察を提示しました。
プレゼンテーション
「Web3の可能性を解き放つ:FORUM8 CICリサーチラボのイノベーション」ケンブリッジ虎ノ門研究室(CIC Tokyo) 室長
マーク・アウレル・シュナベル東京・虎ノ門ヒルズのイノベーションハブ内にある「FORUM8 CICリサーチラボ」では、Web3やメタバースにおける、将来のテクノロジーの可能性を追求しています。このラボでは、MITやWorld16の研究者と協力し、最新のイノベーションをプロトタイピングしています。今回、認証されたデジタルコンテンツ交換の提供によりユーザ体験を向上させるFORUM8のNFT Generatorを紹介しました。
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第16回 国際VRシンポジウム
メタバースと生成AIの出会いがもたらす新たな地平
Day2午後の部前半の区切りとなる「第16回 国際VRシンポジウム」は、「World16」代表・小林佳弘氏(アリゾナ州立大学)による司会進行でスタート。冒頭、VR都市モデルに対する革新的なフレームワークを提案するWorld16プロジェクトの概要(ビジョンやミッション、構成メンバーなど)を紹介。併せて、2023年7月にF8VPSと生成AIを題材に実施したサマー・ワークショップ(オランダ・グローニンゲン)、そこでの検討成果として12プロジェクトの発表を行う今回シンポジウムの位置付けなどを説明しました。
アリゾナ州立大学 小林 佳弘 氏これを受けた研究成果発表の皮切りは、小林氏の「AI講義動画をつかったこれからの教育」。オンライン授業が主流となっていくこれからの教育に注目。自著の新刊「1日で学べるクラウド・AI」を例に、各種AIツールを使い生成した多様なキャラクターに教科書を読んでもらう試み、そこでの考察要件、講義動画の多言語対応も含む今後の展開について解説しました。
続く福田知弘氏(大阪大学大学院)の発表は「建造環境のためのAIを用いた3次元の再構成」。生成AIにより3Dモデリングを行うNeRFを使い写真をレンダリングしてメタバース(F8VPS)に取り込むワークフロー、3D Gaussian Splatting(2023年8月発表)による同様な試行を説明。新しい技術を積極的に使ってみるスタンスの重要性を説きました。
三番目は、マルコス・ノバク氏(カリフォルニア大学)による「ChatGPTを利用した3Dデータ・3Dプログラミング」。UC-win/Roadで作成した3DVR空間と生成AIとの連携により感情を反映して全く新しい運転体験を実現する視覚表現、最新のChatGPTで生成しユニークさを増したイメージを紹介。自身が統括するtransLABが描く次なるウェーブ「transactive AI」の考えにも触れました。
また、コスタス・テルジディス氏(同済大学設計創意学院)は「生成AIを使った新しいストーリーテリング -広報・広告・エンターテイメントへの利用-」。AIシステムの中にヨアンGPT(当社執行役員ペンクレアシュ・ヨアンを模した)を生成。そこにトレーニングで人格を持たせられることを自身との対話パフォーマンスを通じ証明しました。
大阪大学大学院 工学研究科 福田 知弘 氏
カリフォルニア大学 Marcos Novak 氏
同済大学設計創意学院 Kostas Terzidis 氏
五番目の発表は、スカイ・ロー氏(香港理工大学)による「メタバース空間をリアルで操作」。実世界とデジタルを連携するPhyGital環境の創出に着目。AI導入による新しいコミュニケーション、UC-win/Roadを含む各種技術を利用するワークフローを基に、おもちゃのクルマの動きとVR・メタバースなどと連携させるプロセスを紹介しました。
続いてドンスー・チョイ氏(バージニア工科大学)による「点群データの逐次アップロード」。点群データによるデジタルツインの効率的な可視化・創出へのアプローチとして、iPhoneあるいはレーザスキャンを用い取得した点群データをF8VPSに取り込む流れと成果を説明。広範囲な空間のより効率的で容易な生成を次なる研究テーマと位置づけます。
七番目は、レベッカ・バイタル氏(シェンカー大学)がリモートで「美術館キュレーターのためのVR展示管理ツール」を発表。F8VPS内にVRギャラリー空間を構築し、そこに3Dモデルの専門的な知識のないキュレーターがアート作品を選びNFTを利用して展示、一般来場者が鑑賞体験するという手順を解説しました。
香港理工大学 スカイ・ロー 氏
バージニア工科大学 Dongsoo Choi 氏
シェンカー大学 Rebeka Vital 氏
次いで、アマール・ベナージ氏(ハンゼ応用科学大学)の発表は「VRを利用した建築資材のサーキュラー・エコノミー」。各地にある老朽化した建物を都市鉱山と位置づけ、その資材を新規建築物に再利用しようという建物の循環経済。その際、建築家が容易にアクセスできるよう中古建材の種類や保管場所を分類・整理したDBとVRを連携するアプリを紹介しました。
九番目は、ルース・ロン氏(マイアミ大学)による「建築スタジオのためのF8VPS、デザイン・インターフェースの提案」。様々な専門分野の教授や技術者、学生がマングローブをヒントに循環経済都市を創造しようという「Mangrove City 2.0」。地球温暖化の影響を受けやすい地域に未来都市をデザインしVRで再現。F8VPS内に埋め込むことがゴールというプロジェクトについて説明しました。
続くパウロ・フィアマ氏(ピサ大学)の「デジタルツインを利用した防災運用DX」は動画で発表。F8VPSをプラットフォームとするVRデザインスタジオを構想。そこに不動産の保守に関わる各種装置のデータモデルを集めるとともに、例えば実物とVR双方の消火器にQRコードを付けてマネジメントシステム通りに設置されているかなどを確認するもの。公共施設や都市部の建物などの保守に幅広い応用が可能と述べます。
ハンゼ応用科学大学 Amar Bennadji 氏
マイアミ大学 Ruth Ron 氏
ピサ大学 Paolo Fiamma 氏さらに、マシュー・スウォーツ氏(ジョージア工科大学)による発表は「海上ソーラーパネルのためのVRエネルギー計算ツール」。浮体式太陽光発電への注目が増す中でその工学的課題に注目。そこで浮体式太陽光発電の年間エネルギー出力モデルやソーラーパネルの波モデル、浮体式ソーラーパネルのUC-win/Roadパラメトリックモデルを構築。発電システムとしてのポテンシャルの計算・把握を進めているといいます。
最後の発表は、トーマス・タッカー氏(バージニア工科大学)とマーク・オーレル・シナーベル氏(CIC Forum8研究所)による「メタバース空間とNFTの連携」。初めにシナーベル氏がWeb3システムのNFTを販売する新アプリ、FORUM8 VENDING MACHINEの使い方や利用可能性について紹介。続いて、タッカー氏がシンプルなモデリングテクニックを使いながらリアリスティックな各種NFTの作り方、メタバース空間内での見え方などを説明しました。
ジョージア工科大学 Matthew Swarts 氏
ビクトリア大学 Marc Aurel Sclnabel 氏、バージニア工科大学 Thomas Tucker 氏World16各メンバーによる発表の後、フォーラムエイト執行役員開発シニアマネージャのペンクレアシュ・ヨアンが今回の一連の発表を通じ、「XR・VRやAIを使ったことではなく、使って行ったこと自体がすごい」という印象の強さに言及。また近年のメタバースや生成AIを始めとする技術進展の加速化に触れ、時間をかけてそれらを完全に理解しようとするよりも、ユーザー側の「あるから使う」というスタンスに注目。自らもそうしたニーズに応じた提案や技術の提供に努めていく考えを示しました。
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第11回 学生クラウドプログラミングワールドカップ
公開プレゼン・表彰式デジタルツインをはじめとして先端的なテクノロジーを用いたハイレベルなプロジェクトが多数
「第11回 学生クラウドプログラミングワールドカップ(CPWC)」は、Day2の午前中に公開最終審査を実施し、午後にパックンことパトリック・ハーラン氏をプレゼンターとして受賞結果発表と表彰式が行われました。CPWCは、開発キットによるクラウドアプリのプログラミング技術を競う国際コンペ。4月から6月にかけてアジアを中心とする国内外から多数のチームがエントリーし、7月11日の予選選考会で全審査員がフォーラムエイト東京本社に集まって協議を行い予選通過チームを決定しました。
10月に提出された作品の中から審査により8作品をノミネート。11月9日午前の最終審査で行われた各チームのプレゼンテーションに基づいて、審査員の福田知弘氏(審査委員長/大阪大学大学院工学研究科准教授)、佐藤誠氏(東京工業大学名誉教授)、楢原太郎氏(ニュージャージー工科大学建築デザイン学部准教授)、ペンクレアシュ・ヨアン(フォーラムエイト執行役員開発シニアマネージャ)による公開最終審査が実施されました。
審査員(左から)福田 知弘 氏、佐藤 誠 氏、楢原 太郎 氏、ペンクレアシュ・ヨアン 氏
今回のグランプリはPlough the waves Team(上海大学:中国)による「Digital Twin Sluice Management System」が受賞。水面の観察不足、大型船の水流、不適切な操縦動作、水が荒れていて船がコースから逸脱することにより引き起こされる船の衝突、転覆、その他水上交通事故の発生を減らすことを目的とした作品で、デジタルツイン水路監視システムを提案して、水路のリアルタイムの監視と予測を実現します。
優秀賞はIFocus(国民大学校:韓国)の「DAPS(Distracted driving Accident Prevention System)」が受賞。運転手の集中力と安全性を高めるシステムを開発することを目的とした作品です。審査員特別賞(福田氏選考)はYou Are My Eyes Team(上海大学:中国)の「ANGEL NAVIGATION」が、審査員特別賞(佐藤氏選考)はMT Four(椙山女学園大学:日本)の「Brain Machine Interface for Fun Driving」が、審査員特別賞(楢原氏選考)はSkiller(北京航空航天大学:中国)の「Bicycle simulator based on UC-win/Road」が、審査員特別賞(ヨアン氏選考)はReal Never Give Up-Team(北京交通大学:中国)の「The Interface between UC-win/Road and SUMO」がそれぞれ受賞しています。
ノミネート賞はAtarashii Gakko!(ヴィン大学:ベトナム)の「Atarashii Vision」とFIVE(北京建築大学:中国)の「Real-Time Drowsy Driving Detection based on EEG data」が受賞しました。
グランプリ表彰の様子
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第13回 学生BIM&VRデザインコンテスト オン クラウド
公開プレゼン・表彰式若いZ世代/X世代がUC-win/Roadを活用し高いクオリティの作品を提示
「第13回 学生BIM & VRデザインコンテスト オンクラウド(VDWC)」はCPWCに続き公開最終審査と表彰式をそれぞれ実施。先進の建築・土木デザインをクラウドで競うVDWCは、「日本の原風景にもたらされる2つの大逆転 ―恵那市のモビリティとライフスタイルの未来」を課題として、CPWCと同様にエントリー、予選選考会、ノミネート審査を経て、9作品がノミネート。Day2午前のプレゼンテーションを経て、審査委員長の池田靖史氏(東京大学 特任教授 建築情報学研究室)、審査員のコスタス・テルジディス氏(同済大学設計創意学院教授)、C・デイビッド・ツェン氏(台湾国立陽明交通大学 教授)、長倉威彦氏(マサチューセッツ工科大学 准教授)の4氏による公開最終審査が行われました。
グランプリのワールドカップ賞を受賞したのは、Komorebi Studio(ビクトリア大学ウェリントン校:ニュージーランド)の「Floating Furusato」で、空中ケーブルカーと川のフェリーネットワークをシームレスに統合し、独特の景観を維持する革新的な複合交通システムにより、恵那市の雄大な景色を空と水の両方から楽しむことができます。
恵那市長 小坂 喬峰氏によるVDWCノミネート賞の授与
優秀賞は、Minstrel Troupe(国立高雄大学:台湾)の「DOKODEMO」。どこでもドアの「どこでも」のコンセプトからインスピレーションを受けて、主要駅とバーチャル地下通路を組み合わせ、Units-Petalを使用して駅間を簡単に移動できるようにした作品です。
審査員特別賞(池田氏選考)はInterstellar Roamers(国立高雄大学:台湾)の「THE MILKY WAY」が、審査員特別賞(テルジディス氏選考)はDREAM TEAM(VNU工科大学:ベトナム)の「THE MEMORIAL SAKURA CITY」が、審査員特別賞(ツェン氏選考)はMT Square / MT2(香港理工大学(PolyU):中国)の「JINDAI」が、審査員特別賞(長倉氏選考)はBIG BANG(VNU工学大学:ベトナム)の「The Circle City」が、それぞれ受賞しました。
ノミネート賞はFuture Team(厦門工学院:中国)の「Air City」、Massan(日本大学:日本)の「The Millennium Trip of Ena with ehho」、RE-EARTH(ハノイ建築大学/交通運輸大学:ベトナム)の「ECOMOTE Ena City Virtual Sustainability: Crafting a Modern and Eco-Friendly Metaverse」が受賞しました。
グランプリ表彰の様子
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第9回 ジュニア・ソフトウェア・セミナー 表彰式
こどもたちならではのアイデアをUC-win/Roadの機能で大胆に表現
Day2の最後は、「第9回ジュニア・ソフトウェア・セミナー」の表彰式が開催されました。これは、小・中学生を対象として冬休み・春休み・夏休みに実施されている「ジュニア・ソフトウェア・セミナー」の参加者が作成したVR作品を紹介・表彰するものです。
2023年はゴールドプライズ3作品、シルバープライズ10作品、ブロンズプライズ15作品が決定。パックンと多田カルディダ氏の2人による軽快な司会進行で作品紹介と表彰・インタビューが実施されました。860mに巨大化したマーライオンがそびえ立つ街や、ビルの中全体が巨大な水槽になった水族館など、こどもたちの大胆でユニークな発想がUC-win/Roadの機能により思う存分に表現された力作が揃っています。
賞状授与と記念撮影の様子
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ネットワークパーティ
Day2の全てのセッション終了後には、各コンテスト受賞者の方々への祝福の気持ちを込め、また、世界中からの講演者、出席者の皆様も交えた交流の場として、日本のお祭りの夜店をテーマとした、ささやかなパーティを開催いたしました。綿あめ、ポップコーン、飴細工、焼き鳥、フランクフルト、タコ焼きなどの屋台が並び、参加者の皆様は、輪投げや卓球などのレクリエーションを楽しみました。
DAY32023.11.10FRI REPORT
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第9回 最先端表技協・最新テクノロジーアートセッション
第7回 羽倉賞発表AIによる3Dアバターから4Dプリントシステムまで高度でユニークな作品が登場
今回9回目を迎える「最先端表技協・最新テクノロジーアートセッション」は、最先端表現技術利用推進協会(表技協)会長の長谷川章氏による挨拶でスタート。また、プレゼンテーションでは、フォーラムエイト協賛のデジタル掛け軸プロジェクトであるDKFORUM8や、表現技術検定などの活動が紹介されました。
会長挨拶
最先端表現技術利用推進協会 会長 長谷川 章 氏
プレゼンテーション「最先端表現技術普及活用支援の取り組み」
最先端表現技術利用推進協会 松田 克巳
併せて、第7回となる羽倉賞の表彰式を実施。今回も数多くの作品応募があり、審査員の方々により10月に開催された厳正な審査の結果、羽倉賞、企業賞(フォーラムエイトDKFORUM賞)、2つの優秀賞、3つの奨励賞が選出されています。
羽倉賞は、情報通信研究機構(NICT)先進的リアリティ技術総合研究室 Michal Joachimczak氏, Juan Liu氏, 安藤 広志氏の「リアルタイム REXR (レクサー)~本人の細やかな表情も実時間で3Dアバターに高精細に再現〜」(推薦:超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム)に決定。Webカメラ1台の2D映像からAIで本人のリアルな3Dアバターを構築し、細やかな表情や動作もリアルタイムで3Dアバターに再現する技術です。バーチャルカメラを左右に振ることでアバターや環境を異なる方向から見ることができ、アバターにメッシュを重ねて表示すると3D構造も分かります。
フォーラムエイトDKFORUM賞を受賞した空海が見つけた見附島実行委員会・金沢工業大学 松林研究室の「空海が見つけた見附島Ⅱ」(推薦:最先端表現技術利用推進協会)は、いしかわ百万石文化祭2023応援事業として開催されたデジタル掛軸とドローンショーのイベントです。
その他、優秀賞の「Inkjet 4D Print:CGのモデルを現実世界で「折る」」(東京大学/Nature Architects株式会社/エレファンテック株式会社/宮城大学/推薦:情報処理学会)、「インダイレクトビジョンによる潜在的映像の可視化技術」(千葉大学 久保尋之氏/推薦:超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム)、など、映像や音の最先端表現に取り組むユニークな作品が多数発表されました。
長谷川章氏による挨拶では、デジタル掛け軸をはじめとする表技協の活動を紹介
羽倉賞受賞者の皆様
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第17回 デザインカンファランス
地盤の変形・破壊予測とFEM解析適用、注目される世界的なV&V対応の流れ
Day3午後の部のスタートは、「第17回デザインカンファランス」を構成する特別講演を「地盤防災の視点から国土強靭化に資する弾塑性FEM解析の応用」と題し、群馬大学大学院理工学府教授の若井明彦氏が行いました。氏は、地盤の数値解析に長年取り組み、新潟県中越地震(2004年)を契機に山地斜面へのその適用に力を入れてきたと述懐。
それを受け、構造対象を事前に予測・評価する多様な解析手法がある中で、機械分野では標準計算法と位置づけられる半面、地盤解析分野では簡易な予測手法に対する厳密な予測ツールの切り札とされる有限要素法(FEM)解析の役割、その数学的概念(偏微分方程式の近似解法)について整理。併せて、構造体のみならず地下水の浸透や流体の問題、熱伝導、物質の拡散など広範な分野における数値計算、あるいはその高精度かつリアリスティックな可視化への応用機能に着目した映画のCG表現などでの使われ方に言及。
また、万能な予測手法はないとして、実務的なニーズから地盤解析で使う数値解析ツールを技術者が選択するケースでは、自らツールの適用限界を理解し使いこなす必要(「蕎麦をスプーンで食べないで!」という発想)があると指摘。一方、米国を中心に原子力や航空宇宙分野など実物での実験が難しい場面では数値計算による代替が早くから進展。その過程で形成されてきた、当該ツールによる計算結果の信用を使用するエンジニア自身が担保する責任を負うというV&V(Verification & Validation:検証と妥当性確認)の概念に注目。「正しくモノを作れるか」(Verification)と「正しいモノを作れるか」(Validation)を両輪とする枠組みが欧米を中心に世界で普及し始めており、前述のようにFEMで地盤解析を行う流れが本格化する前段として日本でもV&Vに即して説明できるよう準備すべきとの観点を提示。
その上で、身近な地盤の問題をFEM解析により解決したケースでFEMプログラムに性質の良い数字を入れれば理想的な答えを返してくれる(最低限の能力を有する)ことをVerificationした事例、FEM解析によるファーストトライアルで得た元データに対し工学的センスの下でアジャスメントを加えつつ現象予測が出来ている(解析プログラムが新しい問題に適用できる)ことをValidationした事例を列挙。様々な問題に対処する地盤解析におけるFEMならではの(簡易な手法では出来ない)現象説明能力など多彩なメリットの可能性へと話を展開。最後に、急速に普及する生成AI(人工知能)の例を引き合いに、力学を志すエンジニアにとって、1)出てきたデータを鵜呑みにせず、高度な数値解析の豊富な経験を基に解析結果を批判的な目で見、2)何故その解析結果が出たのかというプロセスの説明を、セットで実践することの重要性を強調。それがV&Vの責任を果たすことにも繋がると説きます。
群馬大学大学院 理工学府 教授 若井 明彦 氏
プレゼンテーション1
「デジタルツイン・メタバースを活用した防災・減災、デジタル田園都市国家構想プロジェクトへの適用」フォーラムエイト執行役員 システム営業マネージャ
松田 克巳プラトーなどのオープンデータ、BIM/CIMモデル等を活用したデジタルツイン環境における、各種防災・減災分野における適用事例、遠隔施工・情報化施工適用事例、メタバース環境の活用・スイートERPとの連携、デジタル田園都市国家構想の各種プロジェクト適用、維持管理における統合DB・インフラデジタルデータベースの活用等について、実事例を交えて紹介しました。
プレゼンテーション2
「Geo Engineer's Studio、UC-Draw・3DCADでFEM解析、BIM/CIMまでサポートするUC-1シリーズ最新情報」フォーラムエイト執行役員 UC-1開発マネージャ
中原 史郎自社開発の2次元弾塑性FEM地盤解析プログラムであるGeo Engineer’s Studioや従来の2次元CADに3Dモデリング機能を搭載したUC-Draw・3DCAD等々、UC-1シリーズにおけるFEM解析やBIM/CIMへの取組や、オンライン電子納品に対応するオンライン電子納品支援ツールを紹介します。また、小規模河川の氾濫推定計算における氾濫推定図作成についても紹介しました。
プレゼンテーション3
「UC-1 CIMモデルを活用した土木構造物FEM解析事例と防災・環境シミュレーション最新情報」フォーラムエイト 解析支援グループ長
柳 正吉橋梁に関する上下部工の設計から基礎の検討、橋梁全体系の動的非線形解析やUC-1設計製品の3Dデータを活用してCIMモデルを作成した事例、地下埋設物施工時に既設の基礎に与える影響を考慮した地盤FEM解析の事例などを紹介します。また、LEED認証に対応した建物エネルギーシミュレーションや防災対策にも適用した避難解析、氾濫解析シミュレーションについても紹介します。その他Engieer’s Studio® Ver.11、FEMLEEG Ver.13をはじめ関連製品の新機能および今後の開発予定を紹介しました。
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第10回 ナショナル・レジリエンス・デザインアワード 受賞作品
レジリエンス・デザインの理解浸透と新たな領域への展開
Day3午後の部後半は、「第10回 ナショナル・レジリエンス・デザインアワード(NaRDA)」の各賞発表と表彰式を開催しました。
NaRDAは、構造解析(土木・建築)や地盤工学、水工学、防災などの分野を対象に、国土強靭化に資する具体的な取り組み事例を顕彰するもの。今回は、10月6日までに応募のあった多数のエントリー作品の中から10月13日の予選選考会で10作品をノミネート。
審査員(左から)吉川 弘道 氏、守田 優 氏、若井 明彦 氏
進行を務めた家入 龍太 氏
これを受けて11月6日、審査委員長の吉川弘道・東京都市大学名誉教授、審査員の守田優・芝浦工業大学名誉教授および若井明彦・群馬大学大学院理工学府教授の3氏による本審査会(フォーラムエイト東京本社)を実施。各賞を決定しています。
その結果、グランプリ(最優秀賞)は熊本県玉名市の「3D都市モデルを活用した氾濫シミュレーション-動くハザードマップを利用した災害リスクの可視化- 」が受賞。3次元VR空間上に3D都市モデル(CityGML)を取り込み、玉名市のデジタルツインを構築。そこに災害に関する様々な情報を重ね合わせて氾濫シミュレーションを行い、その結果をリアルタイムに再現。災害リスクを分かりやすく可視化し、防災・避難計画の立案に活用。従来の平面的な最大浸水深の情報発信を主体とするハザードマップの次のステップとして「動くハザードマップ」を具体化したことが高く評価され、効果ある行政サービスに繋げていくことへの期待(吉川氏)が示されました。
また準グランプリ(優秀賞)は、鹿島建設株式会社の「新名神高速道路 天神川橋(仮称)の設計 -RC7径間連続二層アーチ橋の構造成立性を確保するために- 」。一級河川天神川を跨ぐ橋長552.0mの同橋(滋賀県大津市)は、下層部分が開腹アーチ、上層部分は一般盛土と変わらない舗装構造が可能な充腹式アーチを採用。高速道路橋では例を見ない構造だったことから設計において高度な解析技術が求められ、UC-BRIDGEとEngineer’s Studio®による解析を実施。高速道路で類例のない構造の大規模かつ複雑な橋梁を対象とし、最適な二つの設計ソフトを効率的に連携させた(守田氏)と評価されました。
受賞者の皆様
そのほか、審査員特別賞(吉川氏選考)は株式会社千代田コンサルタントの「上路式鋼4径間連続トラス橋の耐震補強設計 -最適な補強方法を見つけるためのパラメトリック解析- 」が、審査員特別賞(守田氏選考)は株式会社溝田設計事務所の「小規模河川の浸水氾濫解析 -浸水氾濫シミュレーションを用いた水害リスク評価- 」が、審査員特別賞(若井氏選考)は株式会社竹中工務店の「3階建建造物(S+RC造)エネルギーシミュレーション -省エネルギー化を目的としたシステム制御の検証- 」がそれぞれ受賞。各審査員による各賞の発表・授与を受け、最後に吉川審査委員長が今回コンテストを総括。各作品を通じたレジリエンスやデザインに対する意識の高まり・使用範囲の広がりへの実感に触れた後、審査に当たっては1)パネルにアピールポイントを分かりやすく収めるための図表の扱い、2)タイトルとサブタイトルによるポイント表現、3)各審査員特別賞に英語名が冠されている意図への適応、がカギになると言及。次回に向け、事例を積み重ねながら日本の国土強靭化に貢献していきたい考えを述べました。